2026/11/03 12:00
結論から書くと、カリウムは「乾物と芋と豆と葉物」に多い。そして水に溶けやすい。この2つを押さえておけば、スーパーの棚を見る目が変わる。
自分は去年の健康診断で血圧が上の方だけ少し高めに出て、そこから1ヶ月くらい食事メモをつけた。味噌汁の具を豆腐とわかめから、里いもと小松菜に変えたら、1食分のカリウム量がだいたい倍くらいになった。計算してみて初めて「ああ、具材でこんなに違うのか」と気づいたタイプです。
カリウムは体のどこで働いているのか
カリウムは細胞の内側に多く存在する電解質で、ナトリウムとペアで体液量や浸透圧を調整している。厚労省のe-ヘルスネットにもその役割が整理されている。
塩分(ナトリウム)を摂りすぎた日は、体が水を抱え込みやすい。そこにカリウムが入ってくると、ナトリウムの排泄を助ける方向に働く、というのが基本的な仕組み。だから「減塩」とセットで「カリウムを増やす」ことが語られる。塩を減らすだけじゃなくて、相方の方も増やす、という発想です。
1日にどれくらい摂ればいいのか
日本人の食事摂取基準(2020年版)だと、成人男性の目安量が2,500mg、女性が2,000mg。生活習慣病予防のための目標量はそれぞれ3,000mg以上、2,600mg以上。厚労省の食事摂取基準のページから原本が見られる。
WHOはもう少し高めで、成人は1日3,510mg以上を推奨している。日本人の平均摂取量は目標量より少し下、というデータが多い。つまり、意識して足していく側のミネラル。
100gあたりのカリウム量、具体的な数字
文部科学省の日本食品標準成分表2020年版(八訂)から、よく登場する食品の数字を拾ってみる。
乾物がダントツ。真昆布(素干し)は100gあたり約6,100mg。乾燥ひじき、乾燥わかめも非常に多い。ただし乾物は1食で100gも食べない。味噌汁1杯のわかめは乾燥で1g前後なので、現実的な寄与は数十mg程度と考えておく方がいい。
豆類も強い。大豆(乾)が約1,900mg、納豆が約660mg。納豆1パック(約45g)で300mg前後。朝ごはんに1パック足すだけで、目標の1割くらいは埋まる計算になる。
芋と葉物は日常の主力。里いも約640mg、さつまいも約480mg、ほうれんそう(生)約690mg、アボカド約590mg、バナナ約360mg。これらは1食で100g前後食べることがあるので、実質的に効いてくる。
個人的に一番コスパがいいと思っているのは里いも。煮物にすれば1食で100g以上は普通に食べられるし、冷凍の皮むきが近所のライフにもセブンの冷凍にも売っていて、調理が5分で済む。
カリウムは加熱でどれくらい減るか
ここが見落とされがち。カリウムは水溶性なので、茹でると煮汁に溶け出す。文科省の成分表の解説でも、ほうれんそうを茹でると生の約7割に減ると書かれている。じゃがいもなど切り口が多いものはもっと減る。
対策はシンプルで、
生で食べる(サラダ、果物)。蒸す。電子レンジで加熱する。スープや味噌汁にして汁ごと飲む。この4パターンのどれかにすれば、損失はかなり抑えられる。
うちで一番ラクなのは「具だくさん味噌汁」。里いも・わかめ・小松菜・豆腐を1杯に全部入れる。塩分は味噌の量を控えめにして、代わりに具を増やす。ナトリウムとカリウムの比率が自然に整う方向に寄っていく。
海藻と豆類の立ち位置
乾燥わかめ、ひじき、昆布は、使う量が少なくても積み重ねで効く。味噌汁のわかめ、ひじきの煮物、冷奴に乗せるとろろ昆布。1日あたりの合計で見ると、意外と馬鹿にならない。
豆類は納豆、豆腐、きなこ、ゆで大豆、枝豆。枝豆は夏場、ビールのお供にして食べる量が増えるので、7〜9月は自然とカリウム摂取量が上がる人も多いはず。自分もそう。
汗をかく季節の電解質
汗には水だけじゃなくてナトリウムもカリウムも含まれる。厚労省の「健康のため水を飲もう推進運動」でも、発汗が多い状況では水分とあわせて電解質を補うことが触れられている。
真夏の屋外作業や長時間のスポーツなら経口補水液やスポーツドリンクが現実的。ただ、デスクワーク中心で冷房の効いた部屋にいる日は、食事で十分追いつく。この辺は「シチュエーションで分ける」のが大事だと思っている。
腎機能が気になる人は別ルート
ここは必ず書いておきたい。慢性腎臓病などで腎機能が低下している場合、カリウムの排泄が追いつかず血液中のカリウム値が上がることがある。日本腎臓学会のCKD診療ガイドラインでも、病期に応じた制限が示されている。
健康診断でクレアチニンやeGFRに指摘があった人、服薬中の人は、カリウムを増やす方向に動く前に医師か管理栄養士に相談するのが先。この記事の内容は、腎機能に問題のない成人を前提にしています。
1日の献立に落とし込むとこうなる
特別なことはしていない。朝に納豆1パック(約300mg)とバナナ1本(約360mg)。昼は定食屋でほうれんそうのお浸しが付いてたらラッキー、くらいのゆるさ。夜に具だくさん味噌汁(里いも、わかめ、小松菜で合計500〜700mg)と、副菜に枝豆かひじきの煮物。これで2,000mg前後は積み上がる。
残りを埋めるのが、間食のドライフルーツ(干しあんず、干しいちじく)や、週末のアボカドトースト。ここは好みで。
塩を減らすより、カリウムを増やす方が続く
減塩はストレスになりやすい。味が物足りないと感じる期間がどうしても出る。一方、カリウムを増やす方向は「おかずを一品足す」「味噌汁の具を増やす」という足し算なので、我慢の要素が少ない。
自分の場合、減塩を頑張ろうとして3日で挫折したあと、「代わりに具を増やす」に切り替えたら半年続いた。これは個人の体感なので誰にでも当てはまるとは言わないけれど、続かない人は一度やり方を逆にしてみてほしい。
まずは今日の夜、味噌汁の具を1つ増やすところから。乾燥わかめをひとつまみ、冷凍の里いもを2〜3個。それだけで十分スタートになると思ってます。
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