2026/11/02 09:45
「最近、老廃物が溜まってる感じがして」。マッサージ屋さんで言われたり、自分でも口にしたりする言葉。ただ、これを医学の教科書で引くと、ちょっと違う話になる。
結論から言うと、健康な体で「老廃物が倉庫みたいに溜まる」ことは、基本的に起きない。起きているのは「排出のプロセスが追いついていない」か「循環が落ちている」のどちらか。言葉の精度を上げると、対処も変わってくる。
そもそも「老廃物」って何を指してるのか
生理学で老廃物と呼ばれるのは、体がエネルギーを作ったり細胞を入れ替えたりした後に出てくる副産物のこと。代表的なのは4つ。
二酸化炭素(呼吸で出す)、尿素(タンパク質を使った後に肝臓で作られ、腎臓から尿で出る)、クレアチニン(筋肉を動かした後に出る)、乳酸(激しい運動のときに出て、肝臓で再利用される)。これらは常に作られて、常に出ていく。ベルトコンベアみたいなもので、止まることはない。
健康診断でよく見る「BUN(尿素窒素)」や「クレアチニン」の数値は、この排出がうまく回っているかの指標。日本腎臓学会の資料にも、腎機能が落ちると血液中にこれらが残り始めると書かれていて、逆に言うと腎臓が普通に動いていれば勝手に出ていく。
「溜まる」ではなく「流れが落ちる」
じゃあ、むくみとかだるさとか、あの重い感覚は何か。あれは老廃物そのものというより、水分やリンパ液の循環が落ちて、組織に余計な液体が留まっている状態に近い。
リンパは心臓みたいなポンプを持ってなくて、筋肉の動きで押し出される。だからデスクワークで夕方に足がパンパンになる、あれ。筋肉を動かさないから、水分が末端に溜まる。これは「毒素」ではなくて、ただの水と、そこに溶けている微量の代謝産物。
私自身、在宅で仕事する日と外回りの日を比べると、夜の足の重さが全然違う。歩いた日は軽い。これは別に体がデトックスされたわけじゃなくて、ふくらはぎのポンプが働いたから、ってだけの話。
解毒を担っているのは、肝臓と腎臓
体の「浄化係」は、ほぼこの2つで完結している。
肝臓は、口から入ったものや体内で作られた不要物を、水に溶けやすい形に変換する。腎臓は、血液をフィルターにかけて、要らないものを尿として捨てる。1日に腎臓が処理する血液はだいたい150リットル前後。そこから最終的に1〜1.5リットルの尿になる。かなりの働き者。
この2つが正常なら、「体内に毒素が蓄積して病気になる」みたいなことは起きにくい。消費者庁も、根拠のない「デトックス」表示については過去に注意喚起を出している。もし本当に有害物が溜まっているなら、それは医療の領域で、お茶や入浴で解決する話ではない。
じゃあ「流れを落とさない」ために何ができるか
倉庫を空にする、という発想ではなく、ベルトコンベアを止めない、という発想に切り替えるとわかりやすい。
水分を1日1.2〜1.5リットルくらい、こまめに。腎臓が働くための材料。塩分を極端に取りすぎない。これも腎臓の負担。筋肉を動かす。特にふくらはぎ。1時間座ったら立つ、くらいの頻度でいい。睡眠。寝ている間に代謝の整理が進む。
どれも地味だけど、これが正解の方向。「スッキリ出す」みたいな派手なアプローチよりも、仕組みの邪魔をしないほうが結果的に機嫌よく回る。
言葉を変えると、見える景色が変わる
「老廃物が溜まってる」を「循環が落ちてる」「排出が追いついてない」に言い換えてみる。すると、やることが変わる。倉庫を一気に空にする方法を探すんじゃなくて、流れを戻す方法を探すようになる。
この視点で日々のケアを選び直すと、過剰に何かを足すより、生活のリズムを整えるほうに目が向く。ちなみに、ハーブなど植物素材を暮らしに取り入れたい人向けに、当店ではオーストラリア製のハーブトニック「ファイブポイントデトックス」も扱っている。興味があれば商品ページをどうぞ。
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