2026/09/19 08:33

「寝つきが悪いから、寝る前にちょっと飲む」。この習慣、実は睡眠の質を静かに削っている可能性がある。寝酒で寝つきが良くなるのは事実。ただし、後半で崩れる。ここを知らずに続けている人が多い。

寝つきは良くなる。ただし前半だけ

エタノールには中枢神経を抑える働きがあって、飲んだ直後は入眠までの時間が短くなり、深いノンレム睡眠が一時的に増える。ここまでは事実で、国立精神・神経医療研究センターも報告している。問題はこの後。

血中のアルコール濃度が下がり始める睡眠後半に、代謝産物のアセトアルデヒドが覚醒方向に作用する。深い眠りが減り、レム睡眠と中途覚醒が増える。夜中の3時、4時にパチッと目が覚めて、そこから寝つけない——これがまさに寝酒の後半戦だ。

ファイブポイントデトックス

眠りを削る3つの生理反応

アルコールが睡眠に噛みつくポイントは、覚醒作用だけじゃない。もう少し細かく分けると3つある。

ひとつは利尿。エタノールは抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑えるので尿量が増える。夜中にトイレで起きる回数が増えるのは、これ。

ふたつめは気道の筋弛緩。舌の根元が落ち込みやすくなり、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の症状を悪化させ得る。翌朝「寝たのに疲れが取れない」の原因のひとつ。

みっつめが耐性。反復飲酒で寝つきを良くする効果は数日〜数週間で薄れる。「眠れないから飲む→効きが悪くなる→量が増える→さらに眠れない」という悪循環に入りやすい。

どのくらいなら「配慮した量」なのか

厚生労働省が2024年に出した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める量として、1日あたり純アルコール男性40g以上・女性20g以上を示している。

純アルコール20gの目安はだいたいこう。

ビール中瓶1本(500ml, 5%)/日本酒1合(180ml)/ウイスキーダブル(60ml)/ワイン約240ml。缶チューハイのストロング系500mlだと、これ1本で30g前後になる商品も多い。数字にすると、いつもの一杯が意外と重いことに気づく。

飲むなら「就寝の何時間前まで」か

アルコールが代謝される速度は個人差が大きいが、体重60kgの人で純アルコール20gを分解するのにおよそ3〜4時間かかるとされている。寝酒として直前に飲むより、就寝の3時間前までに切り上げるほうが後半の中途覚醒は起きにくい。

22時に寝るなら19時までに一杯目を空ける、くらいの感覚。会食で遅くなる日は、後半をノンアルに切り替えるのが現実的な落としどころだ。

「眠れないから飲む」を別の手段に置き換える

寝つきの悪さの原因は、アルコールで解決しないことのほうが多い。カフェインを夕方以降に取っていないか(e-ヘルスネットでは就寝5〜6時間前からの摂取を控えることを推奨)、寝る直前までスマホの光を浴びていないか、部屋が明るすぎないか。ここを整えるほうが持続的に効く。

どうしても口寂しい夜は、ノンアルコール飲料、白湯、カモミールなどのハーブティーに置き換える手もある。「飲むという行為」自体が習慣化している人ほど、飲み物を持ち替えるだけで案外落ち着く。

お酒と長く付き合うために

お酒そのものが悪いわけじゃない。ただ「眠るために飲む」は、体に対しては逆方向に働いていることが多い。飲む日と休む日を分ける、量を測る、就寝時刻から逆算して飲む——このあたりを一度自分の生活に当てはめてみると、翌朝の体感が変わることがある。

気になる症状が続くときは、医療機関や睡眠外来に相談を。

夜のリラックスタイムを見直すきっかけに、生活習慣を整えるサポートとしてファイブポイントデトックスという選択肢もある。

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