2026/09/07 08:34

スーパーの根菜コーナーで、しょうがみたいなゴツゴツした塊を見かけたことはないだろうか。あれが菊芋。名前に「芋」とつくのに、じゃがいもやさつまいもとは中身がまるで別物だ。冬になると近所の直売所でも見かけるようになって、去年の12月に一袋300円で買って初めて調理したときは、皮の薄さと切り口の白さに少し戸惑った。今回は、この菊芋という根菜がなぜ注目されているのか、その成分を淡々と整理してみる。

菊芋とは何か

菊芋(学名 Helianthus tuberosus)はキク科ヒマワリ属の多年草で、北米原産。夏には黄色い花を咲かせ、地中に塊茎をつくる。食べているのはこの塊茎の部分だ。国内の旬はおおむね11月から3月頃。晩秋から冬にかけて掘り上げられ、家庭菜園でも比較的育てやすい作物として知られている。

見た目は生姜に似ていて、皮は薄い黄褐色や赤紫色。断面は白く、シャキシャキした食感がある。生でも食べられる根菜、というのが第一印象だった。

ファイブポイントデトックス

主役はでんぷんではなくイヌリン

菊芋のいちばんの特徴は、いも類なのにでんぷんをほとんど含まないこと。じゃがいもやさつまいもが炭水化物の貯蔵にでんぷんを使うのに対し、菊芋はフルクタン、その中でも「イヌリン」と呼ばれる成分で炭水化物を蓄えている。塊茎の炭水化物の大部分をイヌリン類が占める、という点で他のいも類とは設計思想が違う。

イヌリンは、フルクトース(果糖)がβ2,1結合で連なった重合体で、末端にグルコースがついた構造をもつ。難しく聞こえるが、要は「果糖が数珠つなぎになった長い分子」だ。水溶性食物繊維に分類され、ヒトの消化酵素では分解されにくい。つまり、小腸でそのまま吸収されずに大腸まで届く。大腸では腸内細菌の発酵を受け、短鎖脂肪酸などが生成されることが知られている。プレバイオティクスと呼ばれる分類に入る成分だ。

成分表で見る菊芋

文部科学省の『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』を引くと、菊芋(塊茎、生)100gあたりの数値はこうなっている。

エネルギーは約35kcal、水分が約81g、炭水化物が約14.7g、食物繊維総量が約1.9g。カリウムはおおむね600mg前後で、根菜の中では多い方に入る。微量ながらビタミンB群やビタミンCも含まれる。

ここで注意したいのが食物繊維の数字。成分表上は1.9gと書かれているが、分析方法によってはイヌリンの一部がカウントされないことがある。実際のイヌリン相当量はもう少し多く、菊芋が「イヌリンを豊富に含む根菜」と呼ばれる根拠はここにある。じゃがいもが100gあたり約76kcalなのに対し、菊芋が35kcalと約半分に収まるのも、でんぷんをほとんど持たないからだ。

収穫時期で成分が変わる

面白いのは、菊芋のイヌリンが貯蔵中に変化することだ。収穫直後の塊茎は最もイヌリンが多いが、時間が経つと徐々にフルクトース等に分解されていく。だから、いつ掘ったか、どう保存されたかで、口に入るときの成分量は変わってくる。晩秋に採れたばかりのものと、春先まで保存されたものでは、同じ菊芋でも中身が違うと言っていい。

私が去年買ったのは12月中旬の直売所ものだったが、生でかじると微かに甘くシャキッとしていた。あの甘みの一部が、たぶんイヌリンから分解された果糖だったのだろうと今になって思う。

食べ方の選択肢

調理法は幅広い。生のままスライスしてサラダに、皮ごと薄切りにしてきんぴらに、味噌汁の具に、天ぷらに、味噌漬けに。加工品としては乾燥チップ、粉末(パウダー)、菊芋茶などが流通していて、通年で摂りやすい形になっている。

個人的に手軽だったのはきんぴらで、ごぼうよりアクが少なく下処理が楽だった。生食のシャキシャキ感が好きな人はサラダ、じっくり甘みを引き出したい人は煮物、というふうに使い分けられる素材だ。

選び方と保存

選ぶときは、皮にハリがあってずっしり重いもの。しなびていたり、切り口が黒ずんでいるものは避ける。保存は乾燥に弱いので、湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室へ。長期保存したい場合は、皮ごと薄切りにして乾燥させておくと使いやすい。

まとめ

菊芋は「イヌリンを主な貯蔵成分に持つ、でんぷんをほとんど含まない根菜」というのが正体だ。低カロリーで、水溶性食物繊維としてのイヌリンを比較的多く含み、旬は晩秋から冬。生でも加熱でも食べられて、粉末や茶にも加工される。派手な野菜ではないけれど、成分の設計が他のいも類とはっきり違うという点で、覚えておいて損はない根菜だと思ってます。

ちなみに、イヌリンに着目した食品として「ファイブポイントデトックス」という商品もあります。菊芋そのものを食卓に取り入れるのが難しい時期の選択肢のひとつとして、こういう商品もあるということを紹介しておきます。

詳しくは ファイブポイントデトックス をご覧ください。

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