2026/08/05 08:33
先週、母親から「乾燥ひじき、そんなに食べないほうがいいらしいわよ」と電話がきた。テレビでヒ素の話をやっていたらしい。うちの台所には20g入りの袋が半分残っている。捨てる前に、そもそも海藻って栄養的に何がどれくらい入ってるのか、ちゃんと調べたことがなかったな、と気づいた。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版と、農林水産省・食品安全委員会の資料を突き合わせてまとめる。
数字で見る、海藻の食物繊維
まず結論から。わかめ(原藻・生)の食物繊維総量は100gあたり3.6g。八訂増補2023の数字だ。ほしひじきや乾燥昆布は水分が抜けているぶん、乾物100g換算だと数十グラム単位になる。ただし乾物を100gそのまま食べる人はいない。水で戻すと重量が5〜10倍に増えるので、実際に口に入る量ベースで考える必要がある。
ここが盲点だった。「乾燥ひじきは食物繊維の宝庫」みたいな見出しをよく見るけど、味噌汁一杯に入る戻したひじきなんて数グラム。数字のマジックには気をつけたい。
水溶性と不溶性、褐藻類のぬめりの正体
食物繊維は人の消化酵素で分解されない成分の総称で、水溶性と不溶性に分かれる。海藻、特に昆布やわかめのような褐藻類には水溶性の割合が多い。あの独特のぬめり、正体はアルギン酸という水溶性食物繊維だ。
もう一つよく名前を聞くフコイダンは、硫酸化多糖類に分類される難消化性の成分。健康食品の広告で見かけるけれど、ここでは「褐藻類に含まれる水溶性の食物繊維の一種」という事実に留めておく。
ミネラルの顔ぶれ
成分表に載っているのは食物繊維だけじゃない。カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、ヨウ素。海藻はミネラル密度が高い食品で、和食の脇役として長く食べられてきた理由の一つがこれだと思う。
ただし、密度が高いということは、摂りすぎのリスクもあるということでもある。
ヨウ素の話——昆布は特別
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)を確認すると、ヨウ素の成人推奨量は130μg/日、耐容上限量は3,000μg/日。妊婦・授乳婦の上限は2,000μg/日に下がる。
で、昆布のヨウ素含有量は突出して高い。日本人の平均ヨウ素摂取量が世界的に高水準にあるのは、だし文化のせいだと言われている。毎日昆布だしを取り、昆布の佃煮を食べ、とろろ昆布を汁物に入れる——この生活だと、上限を超える日も出てくる。
だしを引いた後の昆布を毎回きんぴらにして食べる、みたいな習慣がある人は、頻度を少し見直してもいいかもしれない。
ひじきのヒ素、調理でどうなるか
母親が電話してきた件。農林水産省のページに数字が出ている。乾燥ひじきに含まれるヒ素のうち、約7割が無機ヒ素。有機ヒ素より無機のほうが毒性が高いとされていて、これが「食べ過ぎ注意」と言われる理由だ。
ただし、無機ヒ素は水溶性。農水省と食品安全委員会の資料では、水戻し・ゆでこぼしといった下処理でかなり減ることが示されている。乾燥ひじきを買ってきて、袋の裏の指示通り水で戻し、下ゆでする——この当たり前の工程に、ちゃんと意味がある。
ちなみに、農水省は「ひじきを食べるな」とは言っていない。バランス良く食べるなら健康影響を心配する必要はない、というのが公式スタンス。うちの残り10gは普通に煮物にしようと思う。
調理で失われるもの、残るもの
水溶性食物繊維や水溶性のミネラルは、ゆでこぼしで一部が流れ出る。無機ヒ素を減らす調理は、同時に有益な水溶性成分もいくらか失うということでもある。トレードオフだ。
わかめの味噌汁みたいに、戻し汁ごと食べる料理は成分を丸ごと摂れる。一方でひじきの煮物は、下処理でリスクを下げてから使う。料理のかたちにはそれぞれ理由があるんだな、と改めて思う。
まとめ、というほどでもないけれど
海藻の食物繊維や栄養成分は、乾物と生、調理前と調理後で数字が大きく変わる。「◯◯g食べれば1日分」みたいな話をするなら、どの状態の数字なのかを見る癖をつけたい。
あと、母親には「調べたら、普通に食べる分には大丈夫みたいだよ」と返信した。安心してもらえたかは、まだ返事が来ていないのでわからない。
PR
食物繊維や海藻由来の成分を毎日の食事とは別に取り入れたい方に、ファイブポイントデトックスという商品があります。商品ページで成分表を公開しています。
詳しくは ファイブポイントデトックス をご覧ください。

