2026/08/04 08:34

海藻の話になると、だいたい「体にいいですよ」で終わる記事が多い。でも、ひじきとわかめと昆布って、含まれてる栄養も食感も使い方もぜんぜん違う。うちで扱う食材の説明を書くたびに、この3つをちゃんと区別して話せる人が意外と少ないなと感じる。

今回は成分表と自分の台所感覚をつき合わせて、それぞれの特徴を淡々と並べてみる。

ひじき — 鉄と食物繊維がまとまって入ってる

乾燥ひじき100gあたりの食物繊維は約51g。ごぼう(乾燥換算しない生の状態で約5.7g)と比べても、桁がひとつ違う。ただし乾燥重量なので、実際に食べるのは戻した状態で10倍近く膨らむ。それでも1食分(戻して30gくらい)で食物繊維は1.5g前後入る計算。

鉄分も比較的多い。ただ、昔言われていた「ひじきは鉄の宝庫」という話は、鉄鍋で加工していた時代の数値で、いまのステンレス釜で作られたひじきだと数値は下がる。それでも植物性食品の中では上位。

うちの実家では、ひじきの煮物が常備菜だった。母親が金曜の夜に大鍋で作って、月曜の弁当まで登場する。子どもの頃は正直あきていたけど、いま自分で作ってみると、大豆と人参と一緒に炊いた時の食物繊維量はけっこう頼もしい。

ファイブポイントデトックス

わかめ — マグネシウムとヨウ素、あと水溶性食物繊維

わかめの特徴は、アルギン酸とフコイダンという水溶性食物繊維。あのぬめりの正体。乾燥わかめ100gあたりの食物繊維は約32g、うち水溶性が約23g。水溶性が多い海藻はわかめと昆布で、ひじきは不溶性寄り。

マグネシウムも豊富で、乾燥わかめ100gあたり1100mg前後。1食分の味噌汁に入れる乾燥わかめは1〜2g程度なので、実際の摂取量は控えめだけど、日常的に汁物に入れる習慣があると地味に積み上がる。

ヨウ素は昆布ほどではないけれど含まれる。ここは後で書く。

昆布 — グルタミン酸とヨウ素が突出

昆布はまず出汁。うま味成分のグルタミン酸が海藻の中で最も多い。真昆布、羅臼、利尻、日高で味も食感も違って、うちの店でも料理人さんに好みを聞くと真っ二つに分かれる。

栄養面ではヨウ素が突出していて、乾燥昆布100gあたり200,000μg前後。日本人のヨウ素摂取量が世界的に多いのは昆布文化のおかげ、と言われている。ただし、ヨウ素は摂りすぎもよくない栄養素で、成人の耐容上限量は1日3,000μg。毎日大量の昆布を食べ続けると超える可能性がある。この「摂れば摂るほどいい」わけじゃないところが、海藻の話でよく飛ばされる部分。

食物繊維は乾燥100gあたり約27g。水溶性のアルギン酸が中心。

3つを並べたときの違い

ざっくり整理すると、ひじきは不溶性食物繊維と鉄、わかめは水溶性食物繊維とマグネシウム、昆布はヨウ素とうま味成分。同じ「海藻」でひとくくりにするには、けっこう役割が違う。

私自身、味噌汁のわかめ、ひじきの煮物、昆布の出汁、この3つを別々の場面で使い分けるようになってから、なんとなく食卓の栄養バランスの話が具体的になった気がする。「海藻を食べよう」より「今週わかめの味噌汁2回、ひじき煮1回、出汁は昆布」みたいな。

戻し汁を捨てるかどうか問題

これは料理本によって書いてあることが違って、いまだに迷う。ひじきの戻し汁はアクや不純物が出るので捨てる派が多い。わかめは基本的にさっと戻して使うだけなので戻し汁は少ない。昆布は出汁として使い切る。

水溶性食物繊維やミネラルは戻し汁に溶け出しているので、栄養だけで言えば捨てないほうがいい。でも味と食感を優先するなら捨てる。ここは正解がなくて、うちは煮物にする時はひじきの戻し汁も少し使うようにしている。

結論めいたもの

海藻はまとめて「体にいい」で片付けられがちだけど、成分を分けて見ると、それぞれ得意分野がある。ひじきの煮物を週1、わかめの味噌汁を週2〜3、昆布は出汁で毎日、くらいの頻度が、うちの食卓では無理なく続く。

あと、ヨウ素の上限の話はもう少し知られてもいい気がする。妊娠中や甲状腺に不安がある人は、医師に聞いたほうが確実。

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