2026/08/03 08:34
味噌汁のわかめ、副菜のひじき煮、出汁を取った後の昆布。日本の食卓にはあたりまえに海藻が並ぶ。でも「海藻は食物繊維が多い」とだけ言われても、実際どれくらい入っているのか、知らないまま食べてる人は多いと思う。私もそうだった。
ここでは文部科学省の『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』を元に、ひじき・わかめ・昆布の食物繊維や栄養成分を淡々と並べていく。あわせて、無機ヒ素とヨウ素という、知っておいた方がいい話も。
海藻に含まれる食物繊維は「2種類」入っている
食物繊維には水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性がある。海藻はこの両方を含んでいる、というのがまず押さえるべき点だ。
水溶性の代表がアルギン酸とフコイダン。昆布やわかめ、もずくのあの独特なぬめり——あれがアルギン酸やフコイダンに由来している、と成分に関する解説では説明されている。触ればわかるあの粘りが、水溶性食物繊維の実体だと考えるとイメージしやすい。
一方、不溶性の食物繊維も含まれる。だから海藻は「両方入っている食材」で、野菜だけを食べてるときとは繊維の質が違ってくる。
ひじき・わかめ・昆布、成分表の位置づけ
『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』では、藻類のカテゴリに、ひじき・わかめ・昆布などの一般成分、無機質、ビタミン、食物繊維の収載値が並んでいる。文部科学省の食品成分データベース(fooddb.mext.go.jp)で誰でも検索できる。
面白いのは、わかめが「原藻(生)」「素干し」「水戻し」など状態別に別々の項目として収載されていること。乾物と戻したもので数値が違うので、料理の状態に近い方を見た方がいい。ひじきの学名は Sargassum fusiforme、わかめは Undaria pinnatifida と、学名まで載っている。
ミネラルとビタミン——海藻ならではのライナップ
海藻類にはカルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムといったミネラルが含まれる。加えてヨウ素も。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料として知られる元素で、海藻は日本人にとって重要な供給源になっている。
ビタミンでは脂溶性のビタミンKが含まれる。血液凝固に関わるビタミンで、緑黄色野菜や納豆と並んで、海藻もその源のひとつだ。
ただし、具体的な数値はひじき・わかめ・昆布で違うし、乾物か戻したかでも変わる。「海藻は栄養豊富」と一括りにする前に、食品成分データベースで実際の食材を検索してみると、思っていた数値と違うことに気づいたりする。私は乾燥わかめの食物繊維量を初めて見たとき、「意外と入ってる」と素直に思った。
ひじきの無機ヒ素——水戻しで低減できる
ここは知っておきたい話。農林水産省の情報によれば、ひじきに含まれるヒ素は主に無機ヒ素で、乾物では総ヒ素含有量の約7割が無機ヒ素だという。
ただ、この無機ヒ素は水溶性なので、水洗い・水戻し・ゆでこぼしをすることで低減できると案内されている。乾燥ひじきをそのまま使わず、たっぷりの水で戻し、戻し汁は使わずに調理する——昔から祖母がやっていた下処理には、ちゃんと理由があったということになる。
「じゃあ食べない方がいいのか」というと、農林水産省は極端な回避を推奨しているわけではなく、バランスよく食べることと適切な下処理をすすめている、というのが実際のところだ。
ヨウ素の摂り過ぎにも注意
もうひとつ。海藻はヨウ素の供給源になる一方で、日常的に大量摂取するとヨウ素過剰につながる可能性が指摘されている。特に昆布はヨウ素含有量が高い食材として知られている。
毎日大量の昆布出汁と昆布佃煮と昆布水を——という食べ方だと過剰になりうる、という話。普通に和食を食べてる範囲では気にしすぎる必要はないけれど、「健康のために」と急に量を増やすときは、そこは頭に置いておきたい。
日々の食卓での位置づけ
味噌汁のわかめ、酢の物、ひじきの煮物、出汁昆布。この「いつもの」を続けているだけで、水溶性・不溶性の食物繊維とミネラル、ビタミンKが自然に入ってくる。派手さはない食材だけど、和食のベースを支えているのは間違いない。
成分表の数値を眺めて、「今日のわかめの味噌汁、こういう栄養が入ってたんだな」と思いながら食べる。それだけでも、なんとなく食べていた頃とは食卓の見え方が少し変わる気がする。
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