2026/07/20 08:34

妊娠を考え始めた友人から「葉酸っていつから飲めばいいの」と聞かれた。答えは「妊娠する前から」なのだけれど、これを最初にちゃんと教えてくれる人は意外と少ない。産婦人科で指摘されて慌てて調べる人が周りにも何人かいた。だから今回は、公的機関の情報をベースに整理しておく。

なぜ「妊娠前から」なのか

厚生労働省は2000年、妊娠を計画している女性に対して葉酸の摂取を呼びかける通知を出した。目的は、胎児の神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを下げること。神経管は妊娠のごく初期、だいたい妊娠4〜6週頃に作られる。この時期、多くの人はまだ妊娠に気づいていない。

つまり「妊娠がわかってから」では、タイミングとして遅れることがある。だから妊娠を計画した段階、あるいは妊娠の可能性がある段階から摂り始めることが推奨されている。これは日本産科婦人科学会や国立成育医療研究センターも同じ立場。

ファイブポイントデトックス

推奨量は「食事+400μg」

日本人の食事摂取基準(2020年版)を見ると、成人女性の葉酸推奨量は240μg/日。ここに加えて、妊娠を計画中・妊娠の可能性がある・妊娠初期の女性は、通常の食事に加えてサプリメント等から1日400μgのモノグルタミン酸型葉酸を摂ることが推奨されている。

妊娠中期・後期は+240μg、授乳期は+100μgの付加量。上限は成人で1,000μg/日(モノグルタミン酸型として)。多ければいいわけではなく、ここは覚えておきたい。

「モノグルタミン酸型」と「ポリグルタミン酸型」の違い

食品に含まれる葉酸のほとんどはポリグルタミン酸型。サプリメントや強化食品に使われるのはモノグルタミン酸型。この2つ、名前は似ているけれど体内での利用効率が違う。

食品由来のポリグルタミン酸型は、調理の加熱や水にさらす過程でかなり失われる。ほうれん草を茹でて水にさらして絞る、あの工程で葉酸は減る。しかも吸収率もモノグルタミン酸型より低いとされている。だから公的機関は「食品からの葉酸に加えて、サプリメントからモノグルタミン酸型を400μg」という具体的な言い方をしている。食事だけで補うのは現実的に難しい、という判断だ。

葉酸を多く含む食品

食品からもきちんと摂りたいので、多く含まれるものを挙げておく。

ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆、菜の花などの緑黄色野菜。レバー類(ただしレバーはビタミンAが多いので妊娠期は食べ過ぎ注意)。納豆、いちご、焼きのり、アボカド。文部科学省の食品成分データベースで「葉酸」で並べ替えると全体像がつかめる。

調理のコツとしては、茹でるより蒸す、水にさらす時間を短くする、生で食べられるものはサラダで。いちごや焼きのりのように加熱しないで食べる食品を献立に混ぜると、ロスが減る。

過剰摂取の話

先ほど書いた上限1,000μg/日は、サプリメントなど「モノグルタミン酸型として」の話。食品からの葉酸で上限を超えることはまず起きない。ただしサプリを何種類も併用したり、強化食品と重ねたりすると近づくことはある。

ラベルの含有量を確認して、複数のサプリを飲んでいるなら合計で計算する。米国では小麦粉への葉酸強化が義務化されていて、パンやシリアルから自然に摂れる仕組みがあるけれど、日本ではそれがない。だから日本ではサプリで意識的に足すのが基本になる。

産後・授乳期まで続けるかどうか

神経管閉鎖障害のリスク低減という文脈では、最も重要なのは妊娠初期まで。ただし葉酸は赤血球の形成やDNA合成に関わる栄養素で、授乳期にも+100μgの付加量が設定されている。産後すぐにやめる必要はなく、授乳期まで続けるという考え方は理にかなっている。

ここは主治医や助産師さんと相談しながら決めるのがいい。私の友人は、妊娠2ヶ月前から授乳終了まで、約2年ちょっと続けていた。

まとめ

整理すると、こういう話だ。

妊娠を計画した段階から、食事に加えてサプリメントで400μgのモノグルタミン酸型葉酸を足す。食品からも緑黄色野菜や納豆などで摂りつつ、調理ロスを意識する。上限は1,000μg/日。授乳期まで続けるかは医療者と相談。

気になる人は、厚生労働省の食事摂取基準や、e-ヘルスネット、国立成育医療研究センターのサイトを一度読んでおくと安心できると思う。公的な一次情報にあたる習慣は、こういう時にこそ役に立つ。

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